自分が裁判官ならば、
検挙件数至上主義から変革しようとしない、
警察組織の人事考課制度を断罪しますね。
現在の人事考課制度は
警察官犯罪の温床に他なりません。
取締り110番
道交法違反・交通違反で否認を貫き
警察と闘うブログ
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- 産経新聞2013年08月10日16時04分
- 交通取り締まりの際、反則金が安くなるよう実際の違反と異なる内容の反則切符を切ったとして、虚偽有印公文書作成などの罪に問われた元警視庁浅草署巡査部長の男性被告(51)の公判。
- 警察官が「値引き」を繰り返した背景には、違反者にとって喜べないような話も含むさまざまな“裏事情”があったようだ。(時吉達也)
- 警察関係者十数人が傍聴席から見つめる中、東京地裁で1日に開かれた初公判。冒頭で裁判長から職業を聞かれた被告は、「無職です!」と語気を強め、すでに辞職したことを明らかにした。
- 検察側の冒頭陳述によると、被告は昭和59年に大学卒業後、警察官を拝命。平成23年以降、浅草署に勤務し交通取り締まりを担当していた。
- 被告は2件の取り締まりで、虚偽の反則切符を作成したとして起訴された。1件目は平成23年12月。実際は「乗用車が赤色点滅信号のある交差点で一時停止をしなかった」という違反なのに、「原付きバイクが適切なレーンを走らず交差点を大回りした」という「右左折方法違反」の反則切符を作成した。本来なら反則金は7千円だが、3千円に減額された。
- もう1件は今年2月。交差点で左折専用レーンを直進した原付きバイクの男性を、やはり右左折方法違反で処理した。このケースでは反則金は5千円だが、3千円に減額された。2月の処理で運転手から「反則金の安い方で処理するといわれた」と浅草署に申し出があり、犯行が発覚した。
- 職場を追われる危険を冒してまで、反則金の「割引」を繰り返した理由は何だったのか。6月の逮捕当時、被告は「偽造は記憶にない」と容疑を否認したが、その後の警視庁の調べで、過去5年間に虚偽の反則切符を30件交付していたことが判明。「より軽い違反にした方が素直に取り締まりに応じてくれると思った」と供述を変遷させていた。
- 一方、公判の罪状認否では、起訴内容を認めた上で「虚偽の切符を交付したのは事実だが、運転手に哀願されてやったということを認めてほしい」と強調。違反処理上の都合ではなく、あくまでも運転手側への配慮だったとする主張に転じた。
- 確かに1件目の事件では、初心者マークだった男性運転手への同情が働いていたようだ。証拠調べでは「家が近所だという話になり、『しょうがないから安くしてやるよ』と言われた」とする男性運転手の供述調書が読み上げられた。
- 被告は弁護人の質問に対し、免許取得から1年以内の運転初心者が一定の違反を犯すと再講習が課せられる点に言及し「哀願され、講習はかわいそうだと思った」と振り返った。
- 一方、2件目の事件からは、被告側の事情が働いていたことも明らかになった。検察側は冒頭陳述で、職務質問での検挙実績を上げていなかったことを犯行の直前に上司に叱責されていた、と指摘。それを挽回する目的で交通ルールの複雑な交差点に立ち、違反の取り締まりを狙ったと主張した。弁護側の質問に対し、被告も事実を認めた。
- 弁護人「実績を上げるために取り締まりに出たんですか」
- 被告「『自転車盗の検挙もないのか、反則切符の検挙もないのか』といわれて…。嘘をついてでも実績を残したい、1本でも反則切符を切りたいという思いでした」
- 弁護人「上司との関係が良くなかった?」
- 被告「『上から目線』の人で、仲は良くなかったです」
- 被告は続けて、交通取り締まりの運用について、こう述べた。「原付きバイクが左折専用レーンを直進する行為は、実務上は反則切符を切らず、注意にとどめていた」。
- ここで、ある疑念がわいた。被告がいう通り、原付きバイクの左折レーン直進では反則切符を切らないという運用が警察でなされているのなら、被告がこの違反を「右左折方法違反」で処理したことは、運転者にとっては通常なら払う必要のない反則金を払わされていることになるのではないか。しかも、被告にとっては検挙実績も上げられるではないか-。
- 被告の法廷供述を聞けば聞くほどこうした疑念がわいてきたが、被告はこれを否定、次のように述べた。
- 被告「違反内容は別のものでも切符を交付することで、運転手に交通違反を実感させ、反省を深めてもらいたかった」
- 一方、検察側は犯行に至った「第三の理由」として、2件の反則に適用された「右左折方法違反」以外での書類の書き方を被告がよく理解していなかったと指摘、追及した。
- 検察官「『はじめから右左折方法違反で切符を切ればいいと考えていた』と供述したとする調書に署名していますよね」
- 被告「勝手にそう作成したんじゃないですか? 私は一貫して『哀願されてやった』と言っている」
- 元同僚らの前で「能力不足」と指摘されたかのような主張に腹を立てたのか、検察官に対するいらだちをあらわにしていく被告。検察官は被告に「処分を軽くするよう求められても実際の違反で処理すべきだった」という現在の認識を確認し、さらに質問を続けたが、被告は憤りを爆発させた。
- 検察官「それなのに、どうして違反内容を軽くしたんですか」
- 被告「先ほどから言っている通り、哀願されたから…」
- 検察官「そうではなくて-」
- 被告「話を最後まで聞いてくれませんか!」
- 裁判長から「じゃあ好きに話していいから、感情的にならないで」といさめられる被告。「話を中断しないでほしい」と不満を漏らしつつ、過去に切符を切った約120件のうち、30件以外は通常の手続きで行っていることを強調した。
- かみ合わないやり取りが続いた被告人質問の最後に、裁判長が改めて尋ねた。
- 裁判長「実績を上げるよう叱咤されたというが、捏造がばれればより厳しい処分を受けることが分かっていたわけですよね。危険を冒してまで繰り返した理由が分からないんですが…」
- 被告「いつか捕まるとは思っていた。ビクビクしながらやっていました」
- それならなぜ…。疑問は最後まで解けず、裁判長は首をかしげつつ検察官に論告求刑を促した。
- 検察側は「警察官の職務執行に対する信用を揺るがした悪質な犯行で、『実績を上げたい』という動機に酌量の余地はない」として懲役1年6月を求刑。弁護側は「被告本人は犯行で利益を得ておらず、警官を辞めたことから再犯可能性もない」として執行猶予付き判決を求めた。判決は9月3日に言い渡される。
- 「今後反則切符の内容が精査され、厳しくみられるようになる。都民や上司の目が厳しくなるのが申し訳ない」。被告が法廷で述べた反省の弁は、元同僚の警察官に向けたものだった。しかも、「いいかげんなキップを切れなくなり、仕事がやりづらくなって申し訳ない」という言葉とほぼ同義のものだった。不適正な取り締まりを繰り返したことについての都民への謝罪は、最後までなかった。